福岡県工業技術センターとクラボウ(資本金220億円、本社 大阪市中央区、社長 )は、「染料を使わない羊毛着色技術の開発」に共同して取組み、その技術開発に成功しました。また、クラボウにて同技術の量産化にも成功し、この度、新着色方法で着色した生地のテスト販売を開始することになりました。
【経 過】 きっかけは、「博多織」などの繊維関連企業から福岡県工業技術センターへ「天然材料で堅牢(色落ちしないよう)に染色したい」との技術相談を多く受けたことです。一方、染色整理業は「資源大量消費型産業」と言われ、環境負荷削減は大きな課題でした。そこで、「天然」「堅牢」「環境」の3つのキーワードのもと研究開発を始めました。本研究では、従来、堅牢度改善の開発対象になっていた色素や染料に目を向けるのではなく、天然から得られる動物繊維(絹、羊毛)に着目しました。動物繊維は、蛋白質ですが、この性質を利用し、動物繊維自身を発色させる手法を考案しました(図1)。 繊維自身を発色させるメカニズムは、動物繊維である蛋白質が持つ種々の官能基と天然由来成分(ポリフェノール)をある条件下で反応させることによるものです。
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図1 染料を使わない新しい着色技術の概念図
【取組んだ事業など】 平成11〜13年度 新技術研究開発特別事業(県単独予算)
平成12年〜 羊毛についてクラボウと共同研究開始 平成14年度 平成13年度補正 即効型地域新生コンソーシアム研究開発 事業(経済産業省委託者:九州経済産業局) (管理法人:(財)福岡県産業・科学技術振興財団)
【主な成果】 1.濃色物の発色 羊毛製品に必要な濃色もの(黒、ネイビーなど)は、従来、クロムを使った染料が多く、環境へ の負荷やリサイクルが困難になるなどの問題が生じてきています。そこで、環境負荷が大きい合 成染料を使用せず、天然から得られるポリフェノール成分を用いて濃色物が得られたことは、革 新的な成果でした。
2.低環境負荷型 この技術は従来の染料と比較して環境負荷値が最大約60%削減でき、環境に優しい着色方法で あることを明らかとしました(図2)。
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図2 排水の環境負荷比較 (化学的酸素要求量(CODcr) (染料Bを100として)/kg-Wool)
【商品概要】 事業終了後も、クラボウでは、ヒューマンフレンドリー発想「人と地球の健やかな環境を考える」という独自の理念のもとに、新たな時代に対応する新技術として、鋭意研究開発を進め、従来の染色法と比べて、大幅なコストアップなしに量産化に目処をつけました。そして、この度、環境問題に関心を寄せるアパレル・小売店を対象に一部(濃色物(黒、ネイビー))を5月より「エコ・トーン」の商品名でテスト販売することを決定しました。 ・色 黒、ネイビー ・素材 羊毛100%、羊毛―再生ポリエステル 70/30、50/50 ・特長 @合成染料を使用していないので、環境に対する負荷が小さい。 A安全性が高い。 ・発売開始 平成16年5月より試験販売開始(予定) ・特許 1件出願済み 今回のテスト販売は、福岡県のアパレル企業(音伍繊維工業梶A潟Tンリット産業など)数社が既に興味を示しており、衣料製品として商品化される予定です。 【その他】 また、羊毛以外にも絹、皮革の着色、クラボウ独自の技術を融合してセルロース系繊維の着色技術についても研究開発を行っています。他分野として、蛋白質選択的着色方法として研究開発中です。 −お問い合せ先− 〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2―4―31 倉敷紡績株式会社 羊毛事業部 羊毛テキスタイル部 紳士服地課 TEL 06―6266―5414 担当 朝日
〒818-8540 福岡県筑紫野市上古賀3−2−1 福岡県工業技術センター 化学繊維研究所 TEL 092−925−7721 担当 堂ノ脇
以 上
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