ニュースリリース

1998年

1998年02月03日

RNA自動分離装置の販売と核酸抽出装置シリーズを拡充

 

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 真銅孝三)バイオメディカル部は、遺伝子操作のプロセスで必須な、核酸抽出装置の事業拡大を積極的に行っています。このたびこの分野の多様化するニーズに応えるべく、RNAを動物細胞、組織から分離する核酸自動分離装置NA-2000の開発に成功し、平成10年3月から本格販売を開始することになりました。また、植物DNA、マウステールDNAなどの分離に適したソフトを搭載したPI-50α、PI-200などのシリーズ製品を平成10年4月から順次販売する予定です。
バイオメディカル部では、細胞工学、遺伝子工学、タンパク工学などのニューバイオ研究を支援すべく、ヒト細胞培養製品や、DNA/ペプチド受託合成、各種のライブラリー製品を中心とした生化学製品、およびプラスミド自動分離装置などの研究プロセス自動化装置(ラボラトリーオートメーション)の事業化を進めています。
とりわけ、遺伝子抽出分野では、平成元年に米国ジェネティクス研究所(注1)よりライセンスを受けた、自動化に適した試薬とプロセスをベースに、独自の改良と装置開発を行ってきました。平成2年に第一号製品であるプラスミド(注2)自動分離装置PI-100の販売を開始して以来、製品群を順次拡大、累積販売台数が500台を越えるなど、常にこの分野をリードしてきました。また、昨年、本製品の欧米での製造、販売に必要なジェネティクス研究所の基本特許のライセンスを取得し、AutoGen(オートジェン)の商標でこれら地域での本格販売を開始します。
 
 
1.開発の背景
 
生物の生命現象を支配する遺伝子を人の手で自由に扱う、いわゆる遺伝子操作技術はその開発からほぼ1/4世紀が経過し、生命現象の解明、 医薬品の開発、動植物の品種改良、遺伝子疾患や各種疾患を誘発する遺伝子の解析、あるいは臨床検査など、基礎から応用まで生物を扱う多くの研究室の基本的な技術として定着してきました。
このような遺伝子操作の普及は、PCRなどの新しい方法、各種研究機器/装置や試薬の改良開発に支えられています。
クラボウでは、これまでプラスミドで代表される比較的低分子量の組換えDNAの抽出分離を目的とし、遺伝子組換え操作による有用物質の開発研究や、ゲノムプロジェクト(注3)に適したプラスミド自動分離装置PI-100Σ、PI-50を販売し、この分野の研究の効率化に大きく貢献してきました。また、動物の細胞/組織に含まれる染色体DNAの抽出、分離を目的とした核酸自動分離装置NA-1000を開発、販売し臨床研究分野で利用されてきました。
遺伝子の研究は、遺伝子操作を駆使し全世界の研究者が参加する最も大きなプロジェクトのヒトゲノム計画(注4)が、急速に成果 を蓄積しつつあり、2005年頃には当初の目的である遺伝子配列の決定が完了すると推測されている状況下で、従来の遺伝子の構造解析に加えて、その機能の解明へ、或いは臨床検査分野へと研究領域が拡大しています。
これを抽出装置の面から見ると、従来の小形組換えDNA分離に適した装置に加え、遺伝子機能の解明に使われるRNAや、マウステールに代表される遺伝子を変化させたモデル動物の組織からの抽出装置が必要とされています。また、植物DNAなど分離源も多様化してきました。
今回販売を開始する製品は、長年の技術蓄積をベースに、これらの多様化する抽出装置へのニーズに応えて、クラボウ技術研究所とバイオメディカル部の共同プロジェクトで開発したものです。
 
 
2. 装置の特長
 
 (1)NA-2000
   1.動物組織、細胞から高純度のRNAを自動分離。
   2.分離RNAはノーザンブロッテイング(注5)、RT-PCR(注6)など各種の用途に使用可能。
   3.独自に開発したポリエチレングリコール法を自動化。
   4.最大サンプルセット数48サンプル、1日最大処理数120サンプル。
   5.低ランニングコストを実現。
 
 (2)PI-200
   1.実績あるPI-100Σの操作性、信頼性を改良した次世代装置。
   2.新たに多検体マウステール分離用プロトコールを搭載。
   3.最大サンプルセット数160サンプル、1日最大処理数300サンプル。
   4.低ランニングコストを実現。
  
 (3)PI-50α
   1.低価格多機能分離装置。
   2.新たに植物分離用プロトコールを搭載。
   3.最大サンプルセット数48サンプル、1日最大処理数144サンプル。
   4.低ランニングコストを実現。
  
3.装置の主な仕様

 (1)核酸自動分離装置 NA-2000

装置の構成

多機能遠心分離機、6チャンネル送液ユニット、振盪攪拌ユニット、恒温漕、搬送ロボット

処理試料数

最大48サンプル

プロトコール搭載数

最大4種類

標準搭載プロトコール

培養細胞RNA抽出
(改変ポリエチレングリコール法)
組織RNA抽出

オプションプロトコール

プラスミドDNA抽出
組織DNA抽出
培養細胞DNA抽出
植物DAN抽出
酵母DNA抽出

装置の大きさ

77(W)×65(D)×150(H)cm

標準価格

700万円

 (2)DNA自動分離装置 PI-200

装置の構成

多機能遠心分離機、6チャンネル送液ユニット、乾燥用ヒーター、搬送ロボット

処理試料数

最大160サンプル

プロトコール搭載数

最大4種類

標準搭載 プロトコール

マウステールDNA抽出

オプションプロトコール

プラスミドDNA抽出
M-13DNA抽出
酵母DNA抽出
植物DNA抽出

装置の大きさ

96(W)×75(D)×122(H)cm

標準価格

990万円

 (3)DNA自動分離装置 PI-50α

装置の構成

多機能遠心分離機、6チャンネル送液ユニット、搬送ロボット

処理試料数

最大48サンプル

プロトコール搭載数

最大4種類

標準搭載プロトコール

植物DNA抽出(改変CTAB法)
プラスミドDNA抽出

オプションプロトコール

M-13DNA抽出
酵母DNA抽出
マウステールDNA抽出

装置の大きさ

77(W)×65(D)×150(H)cm

標準価格

600万円

  

4.販売計画
  
 (1)販売開始時期
    核酸自動分離装置NA-2000:平成10年3月
    DNA自動分離装置PI-200:平成10年4月
    DNA自動分離装置PI-50α:平成10年5月
  
 (2)販売計画:3機種合計 初年度 6億円
  
 (4)連絡先
    クラボウ バイオメディカル部
    〒572-0823 大阪府寝屋川市下木田町14-41
   (大阪)TEL 0720-20-4504 (担当:才村、大前)
       FAX 0720-21-9641
 
    〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2-7-1 イトーピア日本橋本町ビル
   (東京)TEL 03-3639-7077 (担当:中村)
       FAX03-3639-6998      
 
                                           以 上
      

 (注1)ジェネティクス研究所(Genetics Institute, Inc)
     所在地:87 Cambridge Park Drive, Cambridge MA 02140,USA
     代表者:Mr. Patrick Gage(パトリック ゲージ)
     主な事業内容:アメリカンホームプロダクツ社の一事業
            遺伝子操作を用いた各種医薬品の開発、販売
   
 (注2)プラスミド
     細菌の菌体内で菌自体の生育に必須な染色体DNAとは別に存在する環状の小さな
     2本鎖DNAで、外来DNAを大腸菌などに取り込ませる際の運び屋(ベクター)として
     遺伝子組換え研究で重要な役割を有する。
 
 (注3)ゲノムプロジェクト
     生物が生存する上で必要最小限の染色体であるゲノムの全遺伝子配列を解析しようとする
     プロジェクトで米国、欧州、日本などで国際的研究競争が繰り広げられている。わが国
     でもヒト、イネ、マウスなどのゲノムプロジェクトが科学技術庁、文部省、農水省などを
     中心に取り組まれている。
   
 (注4)ヒトゲノム計画
     人の遺伝子は約10万といわれこの遺伝子配列の全てを解析しデータベースとして
     登録する計画。今後の遺伝子機能の解析において大変重要な取組みであり、遺伝子診断、
     老化・成人病などの原因遺伝子解明に大きく寄与するといわれている。
  
 (注5)ノーザンブロッティング
     目的RNAの大きさや量を決定する方法。RNAを電気泳動した後、ナイロン膜などに移し、
     標識したDNAプローブと相補的な配列をもつ目的RNAとのハイブリッドを形成させる方法。

 (注6)RT-PCR(Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction)
     PCR法と逆転写酵素反応を組み合わせることによりRNAを検出、定量 する方法。逆転写
     酵素により目的RNAに相補的なDNAを合成(cDNA)し、このcDNAを鋳型にして
     PCRを行い増幅する。得られた増幅cDNAについて定量 分析する。



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