ニュースリリース

2000年

2000年11月28日

環境に優しい、羊毛トップの新・連続防縮加工法の開発に成功

 

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 真銅孝三)羊毛事業部は、人と地球の健やか環境を考える“ヒューマン・フレンドリー発想”に基づいた製品開発を行ってきました。
 この度、羊毛トップの連続防縮加工において、従来一般的に用いられていた“塩素化樹脂法”に代わる“オゾン処理”という特殊加工により、“NON-AOX”で、しかも“羊毛の特性を損なわない”連続防縮加工法を開発しました。
        
             
1.開発の背景
 羊毛の防縮加工は、19世紀後半から塩素剤を主流に開発が進められ工業化されてきましたが、20世紀後半にCSIRO(オーストラリア連邦化学研究機構)が開発した“塩素化樹脂法”が、IWS(国際羊毛事務局、現ザ・ウールマーク・カンパニー)によって世界的に普及し、現在羊毛トップの連続防縮加工法として工業的に完成した方法になっています。

 しかし、加工工程から排出される塩素が河川に放流されると、河川中の有機物等に吸着されて、吸着性有機塩素(ハロゲン)化合物(Adsorbable Organic Halogens:AOX)となります。このAOXが食物連鎖により人の体内に摂取されると、人体の脂肪質に蓄積され、蓄積されたAOXは発ガン性を持つことが明らかになっています。さらに、世界的に広がった地球環境の保全運動から、AOXの排出量を規制する動きも高まりつつあります。

 この様な背景から、当社は塩素よりも強い殺菌力と酸化力を持ち、しかも放置すると自然に酸素に戻る特性があり、二次公害の心配のない“オゾン”に着目し、これを羊毛に反応させる方法の開発に成功しました。このオゾン処理法は、環境に優しく、“塩素化樹脂法”と同等の防縮性を持つだけではなく、羊毛の本来の特性を残し、さらに抗ピリング性(毛玉になりにくい性質)をも付与できる画期的な防縮加工法です。(特許出願中)
         
             
2.オゾン処理法の説明
            
(1)オゾン処理の工程
   水洗  オゾン処理  水洗  中和  水洗  オイリング  乾燥
                   
(2)縮みのメカニズムとオゾン処理法
   羊毛繊維が水に濡れると縮むのは、表面のスケール(うろこ状のもの)の先端が
   立ち上がり、スケール同士のかみ合いが生じ、絡み合うことが原因です。
   別添のイラストは羊毛の表面の構造を示したものです。
   エンドクチクルはソフトな構造であり、エキソクチクル(A、B)は、
   ハードな構造です。通常の羊毛繊維を水に漬けると、エンドクチクル(下層のソフトな部分)
   が膨れ、スケールが立ち上がります。
   オゾン処理法は、特殊技術によりオゾンを羊毛に反応させる方法で、
   スケールの性質を変えて湿潤状態でもスケールの先端が立ち上がらないため、
   絡みが生じず縮みません。
                   
(3)ウールの特長の保持
   従来の防縮加工は、スケールを樹脂で覆ってしまうか、スケールを取り除くかの
   二つの方法を用いてきました。即ち防縮性を付与するために、羊毛繊維の特長で
   あるスケールを損ない、羊毛の特性を犠牲にしてきたわけです。
   しかし、オゾン処理羊毛では、スケールのダメージが少ないため、
   羊毛本来の特性も保持することができます。
         
           
3.クラボウ・オゾン処理羊毛の性能
                    
  (1)塩素剤や塩素を含む樹脂を使用しない、環境に与える
     影響の小さいトップの連続加工法。
  (2)防縮性と抗ピリング性を兼ね備えている。(別表2)
  (3)繊維の強力・伸度の低下は比較的少ない。(別表1)
  (4)天然羊毛の撥水性に近い撥水機能を保持している。
     オゾン処理羊毛はスケールへのダメージが軽いため、
     未処理羊毛と同程度の撥水性を保持しています。
  (5)羊毛本来の風合い。
     オゾン処理は、防縮性を確保するための樹脂や仕上剤を使用しておりません。
     従って羊毛本来の風合いを保持しています。
         
              
4.販売について
                    
  2001年秋冬商品から順次投入して行く予定です。
  なお、本年12月6日から東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催される
  「ジャパン・クリエーション2001」に試作品を出展いたします。
         
             
5.問合せ先
                
  クラボウ羊毛事業部
  大阪本社 〒541-8581 大阪市中央区久太郎町二丁目4番31号
  生産技術部  部長 唐川忠士
  TEL 06-6266-5423
  
  販売企画部業務グループ 主任部員 里内茂徳
  TEL 06-6266-5406

                                         以 上

 

<別表 1>
オゾン処理紡績糸 強力伸度データ

防縮加工方法 (2/48,Z 570× S 550,生地糸)
平均強力 平均伸度
JIS-L-1095 7.5 JIS-L-1095 7.5
未処理羊毛 3.07N (313.3gf) 32.6%
塩素化羊毛  2.74N (280.4gf) 27.7%
塩素化樹脂羊毛 2.88N (294.7gf) 30.8%
オゾン処理羊毛 2.75N (280.8gf) 27.3%

<別表 2>
オゾン処理布帛 物性データ 

防縮加工方法 ジャージ(2/48,天竺) 織物(2/60,平織)
洗濯収縮率(%) ピリング性(級) 洗濯収縮率(%) ピリング性(級)
未処理羊毛 たて -54.0 
よこ -39.4
1_2 たて -16.8 
よこ  -4.9
4
塩素化羊毛 たて -7.9 
よこ -4.4
_ _
塩素化樹脂羊毛 たて  0.0 
よこ  0.6
2_3 _ _
オゾン処理羊毛 たて -0.2 
よこ -0.6

たて -4.9 
よこ  0.3


(注)・洗濯収縮率 試験機 :キューベックス収縮試験機
    試験時間:3時間(連続)
             
   ・ピリング性 試験機 :ICI型ピリングテスター  
    試験時間:ジャージ(5時間)
         織物(10時間)


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