ニュースリリース

2008年

2008年03月24日

電子線を利用した天然繊維の改質技術の工業化に成功

 

クラボウ(資本金220億円、本社 大阪市中央区、社長 井上 晶博)繊維事業部は、電子線を利用した天然繊維の改質技術を開発しました。
 クラボウでは、“天然素材の新しい価値を創造する”をコンセプトに、繊維が本来持っている特性を生かしたまま、繊維を改質することで様々な機能を付与する技術開発を進めてまいりました。
 今回の技術は、福井県工業技術センターの保有する電子線グラフト重合技術の特許を応用したもので、経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業に採択され、当社もコンソーシアムのメンバーとして平成15~16年の2年間で装置の開発および実証試験を実施し、その後も事業化の可能性を検討してきました。
 この技術は電子線を利用して、目的とする機能薬剤を繊維に強固に結合させることにより、半永久的に機能を保持することができます。また繊維の表面に機能薬剤を付与させることが可能ですので、即効性の高い機能を発現させることができる優れた技術です。
 なお、電子線を用いてテキスタイル(拡布状)素材に連続生産方式でグラフト重合を行う技術は、従来にない世界的にも画期的な技術です。


1.電子線グラフト重合とは
 通常、綿などの天然繊維に消臭や抗菌などの機能を付加するには、バインダー(接着剤に相当するもの)や電気的な相互作用を利用して機能性薬剤を繊維に固着させる手法が一般的でしたが、この方法では洗濯を繰り返すと徐々に薬剤が脱落し、製造時に薬剤を練り込んで機能を付与する合成繊維と比較した場合、効果の持続性が低いといった課題がありました。
 一方、電子線グラフト重合は、電子線で天然繊維を活性化し、その部分に機能性分子(モノマー)を効率よく、化学結合によって直接付与することができるので、洗濯を繰り返しても薬剤が脱落せず半永久的に機能を保持することが可能となります。さらに繊維の表面に機能を導入させることができるので、即効性の高い機能を発現させることが可能になる優れた技術です。
 この技術は、従来繊維の加工には使えなかった多種多様のモノマーに応用でき、新規性の高い機能加工が生まれる可能性も秘めています。クラボウはその可能性を最大限に引き出せるよう、今後も研究開発を進めてまいります。現在、高機能、高耐久性を有した3種類の素材開発に成功しておりますが、今後さらにバリエーションを充実させて行く予定です。


2.電子線を利用した天然繊維改質技術の特長
①従来の後加工方法と比べ洗濯による機能の低下がほとんどなく、洗濯後も高機能を持続します。
②繊維の表面に機能を付与することが可能ですので、即効性の高い機能の発現が期待できます。
③綿100%や綿/ポリエステル混、セルロース系(レーヨン等)の織物への加工が可能です。
④機能薬剤の付与に触媒を用いませんので、開始剤等の残渣がありません。


3.現在の機能バリエーション
①吸湿発熱:
布帛でも高い発熱効果を示し、家庭洗濯100回後も効果を持続します。

②アンモニア消臭:
アンモニア、アミンなどの塩基性ガスを素早く消臭し、ガスの吸着容量が大きいのも特長です。家庭洗濯100回後も効果を持続します。

③抗菌:
黄色ブドウ球菌など、家庭洗濯100回後も高い抗菌効果を持続します。


4.用途展開と今後の開発
 現在の機能バリエーションについては受注を開始し、商品の特長を生かして主にユニフォーム、カジュアル素材を中心に展開する予定です。
 同時に、従来不可能であった機能、新規性の高い機能加工を生み出すべく今後も福井県との連携を密にし、ポイントである新規モノマー等の開発を日華化学株式会社やローディア日華株式会社と共同で行っていく予定です。
 なお、クラボウでは平成20年6月11~12日に開催する展示会に、電子線グラフト重合技術により開発を行った製品の展示を行います。


5.販売開始
平成20年7月より販売開始(予定)


6.お問い合わせ先
〒541-8581
大阪市中央区久太郎町2-4-31
クラボウ大阪本社
繊維事業部 営業統括部 マーケティンググループ
TEL 06-6266-5303  担当 内田

繊維事業部 技術部 開発課
TEL 06-6266-5370  担当 勝圓、友谷


※地域新生コンソーシアム研究開発事業について
 経済産業省の助成事業で、新産業・新事業を創出するため、技術シーズ等を活用した産官学の研究体制を組んで、実用化に向けた高度な研究開発を実施するもので、公募によって申請を行い、採択に当たっては、厳正な評価が行われます。
 今回採択されたテーマは「連続生産を目指した電子線グラフト重合法による繊維機能化技術の開発」で、財団法人ふくい産業支援センターを管理法人として、福井県工業技術センター、福井大学、日華化学株式会社、ローディア日華株式会社、サカイオーベックス株式会社、倉敷繊維加工株式会社およびクラボウというメンバーで構成し、装置の開発、モノマーの開発、加工技術の開発等をそれぞれが役割分担を行い、強力な体制により研究開発を実施しました。

以 上



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