ニュースリリース

2009年

2009年10月19日

抗ウイルス機能繊維加工技術「CLEANSE(TM)/クレンゼ(TM)」 を活用した繊維素材の量産開始

 

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 井上晶博)繊維事業部は、国立大学法人 広島大学大学院(所在地 広島県南区霞 学長 浅原利正)医歯薬学総合研究科 (以下、広島大学)二川浩樹教授が開発した、インフルエンザウイルスなどを不活化する機能を持つ固定化消毒成分「Etak®(イータック)」を活用した抗ウイルス機能繊維加工技術「CLEANSE(TM)/クレンゼ(TM)」の開発を完了し、量産を開始することになりました。 

                      記 

1.開発の背景 
 広島大学は、長年にわたり口腔衛生の研究に取り組んでおり、これまでに人体への安全性が極めて高い入れ歯用抗菌洗浄剤の実用化に成功しています。さらに、この開発ノウハウを活かし抗インフルエンザウイルス機能のある固定化消毒成分に関する研究にも取り組んでおり、口腔内の治療や洗浄時に使われている消毒薬をベースとしたインフルエンザウイルスなどを不活化(注1)する機能を持つ固定化消毒成分「Etak®」の開発に成功し、本年9月に発表を行いました(注2)。クラボウでは、「Etak®」の開発段階から繊維素材への抗ウイルス機能加工を目指した取り組みを広島大学と共同で続けてまいりました。広島大学では、繊維への加工に適応するための機能改良を行い、クラボウは、独自技術により、繊維への耐久性を高めた固定化技術の研究・開発に取り組み、インフルエンザウイルスなどの不活化機能や人体への安全性などの検証を実施してまいりました。このたび、製品化に十分な性能の検証と繊維での量産加工技術が確立できたことから、本格生産を開始することとなりました。 
*「Etak®」は、国立大学法人広島大学 の登録商標です。 


2.固定化消毒成分「Etak®」について 
 広島大学の二川浩樹教授が開発した「Etak®」は、口腔内の治療や洗浄時に使われている消毒薬をベースに開発されたインフルエンザウイルスなどを不活化する機能を持つ化合物で、急性経口毒性試験や変異原性試験、皮膚一次刺激性試験で安全性の高いことを確認しています。この化合物は、加工したい対象物の表面に結合(固定化)する性質があり、固定化した表面の抗インフルエンザウイルス機能は半年以上持続することが大学で実証されています。 


3.抗ウイルス機能繊維加工技術「CLEANSE(TM)/クレンゼ(TM)」について 
 抗ウイルス機能繊維加工技術「CLEANSE(TM)/クレンゼ(TM)」は、クラボウ独自の加工により「Etak®」を繊維表面に強固に固定化させた抗ウイルス機能を有する繊維への加工技術です。洗濯耐久性に優れており、繰り返しの洗濯でも機能の低下がほとんどないことから、衣料品、寝装・リビング製品、医療資材などへの展開が可能です。また、繊維素材に固定化された「Etak®」にウイルスが接触することにより不活化されるので、インフルエンザウイルスの感染ルートとされる接触感染や空気感染(注3)などのリスクの軽減効果が期待されます。 
 ただし、「Etak®」を固定化した繊維表面に接触したウイルスについては、効果が期待できますが、直接体内に取り込まれるウイルスもあり、インフルエンザウイルスの体内への侵入を完全に阻止できるものではありません。 

(1)インフルエンザウイルスなどの不活化機能 
 抗ウイルス加工を行うことによって、繊維に固定化された「Etak®」に接触したウイルスが不活化され、体内に取り込まれるウイルスの絶対数を減少させる効果が期待できます。広島大学大学院医歯薬学総合研究科ウイルス学研究室で「CLEANSETM」加工を施した繊維でのインフルエンザウイルス不活化機能を独自の方法で試験した結果、繊維表面に接触させたインフルエンザウイルスの活性は明確に減少していました。 

(2)安全性 
口腔衛生用の抗菌剤をベースに開発しており、以下のように高い安全性を有しています。 
1.急性経口毒性 : 8000mg/kg以上 
2.変異原性試験 : 陰性 
3.皮膚一次刺激性試験 : 無刺激 
4.社内皮膚貼付試験  : 問題なし 

・急性経口毒性試験LD50 (50% Lethal Dose) 
 ある物質をある状態の動物に与えた場合-その半数が死に至る量(数字が大きいほど経口投与に対する有害性が低い)を示す。例えば、食塩に対するマウスのLD50は、3000mg/kg、酢酸は3300mg/kgである。毒物及び劇物取締法では、経口投与の半数致死量を基準とし、LD50=50mg/kg以下程度を毒物、LD50=300mg/kg以下程度を劇物としている。 

・変異原性試験 
 遺伝子突然変異、染色体異常および一次DNA損傷などの種々の遺伝学的指標を調べる試験。一般的には遺伝的突然変異性を指標とする細菌を用いる復帰突然変異試験が代表的な試験方法であり、発がん性物質のスクリーニング試験として実施される。結果は陰性、陽性で示される。 
   
・皮膚一次刺激性試験 
 皮膚に接触した化学物質が、その局所に湿疹あるいは接触性皮膚障害などの刺激作用を有するかどうかを評価する試験。一次刺激とは化学物質を一回接触させた場合の局所の障害の程度を評価基準に従って判定を行う。 

(3)洗濯耐久性 
 素材本来の風合いが重視される天然繊維を中心に、ポリエステルやアクリルなどの合成繊維との混紡素材についても素材本来の風合いを維持させながら、高い洗濯耐久性の両立を実現しました。(洗濯方法 JIS L 0217 103法に準拠) 

(4)即効性 
 屋内外、天候、気温、湿度による影響は殆ど受けず、繊維上に固定化されている抗ウイルス機能成分にウイルスが接触した段階で不活化され、その機能性は加工直後から繊維のライフサイクルが終了するまで継続的かつ安定的に発現します。 


4.商品展開について 
 衛生繊維製品、衣料品、リビング製品、医療資材の各分野向けに製品や素材の提供を見込んでいます。また、一定期間の機能持続性が要求される工業製品や産業資材等の分野においても用途開拓を進める予定です。 
 また、関係会社の倉敷繊維加工株式会社とも連携し不織布、フィルターなどの分野にも展開を計画しています。 


5.販売計画 
販売開始時期:平成21年11月下旬(予定) 
販売目標 :平成22年度 5億円  平成24年度 15億円 


6.お問い合わせ先 
クラボウ 繊維事業部   http://www.kurabo.co.jp/cotton/ 
大阪本社 営業統括部 マーケティンググループ 担当:内田 
〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2-4-31 
TEL:06-6266-5303 FAX:06-6266-5380 
   
以上 


(注1) 
不活化とは 
 ウイルスは、生物ではないので自分自身では増殖することができないが、DNAを持っているため、ヒトや動物(宿主)の細胞に入り込む(感染)ことで宿主の細胞がウイルスのDNAを合成し、ウイルスを増殖させます。生物ではないウイルスには、殺菌等の概念が存在しないため、感染できない状態にすることを不活化と表現しています。 
  

(注2) 
下記の通り報道機関向けにリリースを発行しております。 
(広島大学) 
平成21年9月17日 
会  見:「インフルエンザの拡大リスクを軽減する化合物の作製に成功」 
(クラボウ) 
平成21年9月24日 
資料配布:「抗インフルエンザウイルス機能繊維の開発に着手」 


(注3) 
接触感染とは 
 例えば、感染者の咳やクシャミにより大気中に飛沫したウイルスが第三者の衣服や皮膚、頭髪等に付着し、それらを触った手が、口・鼻・目などにウイルスを運び、最終的にウイルスが体内に取り込まれて感染するケースです。 

空気感染とは 
 例えば、空気中に飛散したインフルエンザウイルスが微粒子となって空気中を長距離移動している環境に於いて、呼吸器等に吸い込まれて感染するケースです。 
 また衣類に付着したり、机や床に落下したウイルスが再び空気中を浮遊して、感染するケースもあります。



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