中期経営計画株主・投資家情報
クラボウグループの新中期経営計画 「Accelerate’27」 について
当社グループは、2030年のあるべき姿を描いた「長期ビジョン2030」の第3ステージにあたる3ヵ年の新中期経営計画「Accelerate’27」(2025年4月~2028年3月)を策定し、本年4月からスタートしました。
1. 基本方針
「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」
前中期経営計画「Progress’24」で推進した高収益な事業基盤の構築に向けた事業ポートフォリオの改革を加速して推し進めるとともに、資本効率を意識した資本政策を積極的に実施することにより、企業価値の向上を図ります。
目標達成にあたっては、サステナブルな循環型社会の実現に向けた貢献に加え、企業経営の根幹を成す人材への投資も重視し、エンゲージメントの高い組織づくりを目指してまいります。
2. 数値目標
(単位:億円)
2024年度 | 2027年度 | |
---|---|---|
売上高 | 1,506 | 1,650 |
営業利益 | 103 | 130 |
経常利益 | 117 | 130 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
90 | 110 |
重要な経営指標(2027年度) | |
---|---|
売上高営業利益率 | 7.9% |
ROE(自己資本純利益率) | 10.0% |
ROA(総資産営業利益率) | 7.5% |
ROIC(投下資本利益率) | 7.9% |
3. 財務・資本政策
- (1) 株主還元の方針
-
① 業績に左右されない、継続的、安定的な配当とするため株主資本配当率(DOE)4%を目標値として設定
② 「Accelerate’27」の3年間で200億円の自己株式を取得
- (2) 政策保有株式の縮減の方針
- 「Accelerate’27」の最終年度である2027年度末までに連結純資産の20%未満に縮減
なお、詳細につきましては、下記をご参照ください。
新中期経営計画 「Accelerate’27」
1. クラボウグループ「長期ビジョン2030」の見直し
2019年3月、不確実性が益々高まる経営環境下、当社グループの長期的な成長と企業価値の持続的な向上に向けた経営の方向性をグループ内に明示するため、2030年の目指すべき姿を「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」とするクラボウグループ「長期ビジョン2030」を策定いたしました。
「長期ビジョン2030」は、経営理念「新しい価値の創造を通じて、より良い未来社会づくりに貢献する」の下、持続的な社会の実現に貢献できる技術や商品・サービスを創出するとともに、高収益事業体制への変革を進めていくというものです。
策定から6年が経過し、当社グループを取り巻く経営環境は厳しさを増す一方ですが、環境変化に合わせて事業戦略を進化させるとともに、構造改革にも取り組んできたことにより、強固な収益基盤の構築に向けた事業ポートフォリオの改革が進み、「長期ビジョン2030」は計画目標を前倒しで進捗している状況です。

2. 前中期経営計画「Progress '24」の振返り
(1)業績推移
(単位:億円)
<全社> | 22/3期 実績 |
23/3期 実績 |
24/3期 実績 |
25/3期 実績① |
25/3期 目標② |
比較 ①―② |
---|---|---|---|---|---|---|
売上高 | 1,322 | 1,535 | 1,513 | 1,506 | 1,600 | △94 |
営業利益 | 75 | 86 | 91 | 103 | 96 | +7 |
経常利益 | 87 | 100 | 101 | 117 | 102 | +15 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
56 | 55 | 67 | 90 | 72 | +18 |
売上高営業利益率 | 5.7% | 5.7% | 6.1% | 6.8% | 6.0% | +0.8 pt |
---|---|---|---|---|---|---|
ROE(自己資本純利益率) | 5.9% | 5.6% | 6.2% | 7.6% | 7.0% | +0.6 pt |
ROA(総資産営業利益率) | 4.5% | 5.1% | 5.0% | 5.4% | 5.3% | +0.1 pt |
ROIC(投下資本利益率) | 4.6% | 5.3% | 5.2% | 5.5% | 5.6% | △0.1 pt |
「長期ビジョン2030」の第2ステージである前中期経営計画「Progress’24」の売上高は、工作機械事業の譲渡等の影響により未達となりましたが、成長市場である半導体製造関連市場等での注力事業の拡大など、高収益な事業基盤の構築に向けた事業ポートフォリオの改革を進めた結果、各段階利益は目標を達成いたしました。
また、収益向上に伴い、増配や自己株式の取得を実施したこともあり、ROEも改善し、その目標である7%も達成いたしました。
(単位:億円)
<セグメント別> | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 | 25/3期 ① |
25/3期 目標 ② |
比較 ①―② |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
化成品事業 | 売上高 | 516 | 597 | 613 | 660 | 630 | +30 |
営業利益 | 29 | 37 | 39 | 50 | 39 | +11 | |
繊維事業 | 売上高 | 446 | 565 | 511 | 485 | 540 | △55 |
営業利益 | △1 | 3 | △2 | 0 | 8 | △8 | |
環境メカトロニクス事業 | 売上高 | 235 | 242 | 255 | 219 | 290 | △71 |
営業利益 | 27 | 28 | 35 | 33 | 30 | +3 | |
食品・サービス事業 | 売上高 | 84 | 92 | 95 | 104 | 103 | +1 |
営業利益 | 2 | 4 | 6 | 7 | 7 | +0 | |
不動産事業 | 売上高 | 37 | 37 | 37 | 37 | 37 | +0 |
営業利益 | 27 | 24 | 22 | 22 | 23 | △1 |
(2)重点施策の総括
3. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組み

- (1) 現状認識
- 「Progress’24」を通し、事業収益の向上と資本政策・IR活動の強化を両輪で進めた結果、ROEやROICも改善傾向にあります。しかし、現時点でPBRはまだ1倍を下回っている状況であり、今後の更なる取組みの強化が重要となっています。
- (2) 今後の方針
- 当社では、株主資本コストはCAPM等の手法を基に6%~7%のレンジと把握しているものの、株主の期待するリターンは更に高いものと認識しており、まずはPBR 1倍以上を目指して、次項で説明する新中期経営計画での目標のROE 10%の実現などに取り組むとともに、IR活動の充実を進めてまいります。
4. 新中期経営計画 「Accelerate’27」
「Accelerate’27」は、イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループを目指したクラボウグループ「長期ビジョン2030」の第3ステージに位置しています。COVID-19によるパンデミックの影響を大きく受けたことで第1ステージの「Creation'21」は大幅な未達となりましたが、第2ステージの「Progress'24」で成長・注力事業の半導体製造関連事業等の伸長により、長期ビジョンの成長軌道に戻しました。これを受け、長期ビジョン目標を前倒しで見直し、その新たな目標の達成に向けて、経営資源を効率的に活用しながら、「Progress'24」で取り組んだ、高収益な事業体制の構築に向けた事業ポートフォリオ改革を「加速」して進めていく重要なステージとなります。
- (1) 基本方針
- 「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」
- (2) 重点施策
-
① 成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化
半導体製造関連や自動化・制御装置、メディカルといった成長を続ける市場に向け、収益力の高い注力事業、すなわち高機能樹脂製品や機能フィルムなどの高機能プロダクツ事業、エレクトロニクス事業、ライフサイエンス・テクノロジー事業等へ経営資源を集中し、事業の拡大を加速いたします。
また、社会課題の解決に資する基盤事業での安定収益の確保と、低採算事業の収益構造の転換を図ることで、グループ全体の経営基盤を支えていくための収益力を強化してまいります。② R&D活動の強化と新規事業の創出・収益化
当社グループのR&D活動の中核となる技術研究所では、グループ各部門との連携の下、それぞれのコア技術を強化しながら、ロボットセンシング、セミコンソリューション、ライフサイエンス・テクノロジー、マテリアルソリューションに重点を置いた研究開発活動を推進し、新規事業の創出と早期収益化を図ります。
また、公的機関やベンチャー企業とも連携し、持続的成長を支える次世代技術や循環型社会に貢献する新技術の創出を目指します。③ サステナブル社会の実現への貢献
当社グループは、東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードに則り、「サステナビリティに関する基本方針」を策定し、開示しています。本基本方針および経営理念の下、持続可能な社会の実現と企業価値の向上をめざすサステナブル経営を一層推進するため、2025年4月1日をもって、「クラボウCSR委員会」から「サステナビリティ委員会」に移行するなど、サステナビリティ・CSRに係るガバナンス体制を一部変更しました。
新たな体制の下、人権や法令順守といったコンプライアンス面での統治だけでなく、事業活動ともリンクした当社グループのマテリアリティへの取組みを一層強化し、サステナブル社会の実現に資する活動を推進してまいります。
また、サプライチェーン全体でサステナビリティ・CSRを推進するため、調達先へのアンケ―トを実施し、改善要請をするなど、サプライチェーンの適切な管理にも注力してまいります。④ エンゲージメントの高い組織の構築
変化の激しい時代の中で「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を目指し、企業価値を持続的に向上させるため、当社創立130周年の際に社員に向けて発信した「面白いこと やってやろう。」が指し示す、好奇心と行動力で新しい価値を生み出すことのできる、チャレンジ精神と創造的思考力を持った社員の育成に注力しています。そのためには、働きやすさとやりがいを感じられる職場環境の中で、社員一人一人が企業価値の持続的向上に主体的に貢献する「エンゲージメントの高い組織」の構築が不可欠と考え、施策に取り組んでまいります。
(3) 数値目標
① 連結業績目標および経営指標
(単位:億円)
2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | |
---|---|---|---|---|
売上高 | 1,506 | 1,440 | 1,520 | 1,650 |
営業利益 | 103 | 80 | 112 | 130 |
経常利益 | 117 | 95 | 120 | 130 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
90 | 95 | 100 | 110 |
2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | |
---|---|---|---|---|
売上高営業利益率 | 6.8% | 5.6% | 7.4% | 7.9% |
ROE(自己資本純利益率) | 7.6% | 8.0% | 9.0% | 10.0% |
ROA(総資産営業利益率) | 5.4% | 4.3% | 6.2% | 7.5% |
ROIC(投下資本利益率) | 5.5% | 4.4% | 6.4% | 7.9% |
② 事業セグメント別業績目標
(単位:億円)
2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | 比較 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
化成品事業 | 売上高 | 660 | 640 | 680 | 740 | +79 |
営業利益 | 50 | 39 | 55 | 60 | +9 | |
繊維事業 | 売上高 | 485 | 435 | 450 | 490 | +4 |
営業利益 | 0 | △7 | 6 | 12 | +11 | |
環境メカトロニクス | 売上高 | 219 | 222 | 240 | 270 | +50 |
営業利益 | 33 | 30 | 34 | 40 | +6 | |
食品・サービス | 売上高 | 104 | 105 | 112 | 112 | +7 |
営業利益 | 7 | 7 | 7 | 8 | +0 | |
不動産事業 | 売上高 | 37 | 38 | 38 | 38 | +0 |
営業利益 | 22 | 22 | 22 | 22 | △0 | |
消去又は全社 (*) | 営業利益 | △11 | △11 | △12 | △12 | △0 |
合計 | 売上高 | 1,506 | 1,440 | 1,520 | 1,650 | +143 |
営業利益 | 103 | 80 | 112 | 130 | +26 |
8(*)「消去又は全社」の内訳は、主に各セグメントに帰属しない研究開発費です。
(4) 各事業セグメントの事業方針・重点施策
- (化成品事業)
- ・半導体やエネルギー関連市場へ向けた高機能プロダクツ事業への経営資源集中と事業拡大加速
- ・自動車や住宅関連市場向け産業マテリアル分野における新規ビジネスの展開と市場への深耕
- (繊維事業)
- ・最終ユーザーのニーズに基づく独自技術の開発推進と独自技術商品の販売拡大
- ・海外製造拠点を軸としたグローバルサプライチェーンの構築
- (環境メカトロニクス事業)
- ・ライフサイエンス・テクノロジー事業、半導体関連事業の成長加速
- ・社会課題の解決に資する環境やインフラ関連ビジネスなどの市場開拓と収益力強化
- (食品・サービス事業)
- ・既存商品・サービスの市場浸透の拡大と差別化商品・サービスの開発推進・販路開拓
- (不動産事業)
- ・現有不動産の計画的・効率的運用と遊休不動産の早期収益化
(5) 投資の基本方針
企業価値の持続的な向上を図るため、成長に向けたM&Aや設備投資、研究開発や知的財産、人材への投資などへ積極的かつ継続的に、また適切に投入してまいります。
設備投資については、持続的な成長を図るためにも、優先的に注力事業や環境に配慮した投資を実施いたします。同様に、当社グループの業容拡大に資するM&A投資については、ターゲットを半導体製造関連やライフサイエンス・テクノロジー分野に絞り、100億円を想定しております。好機を逃さないよう積極的かつ臨機応変に対応してまいります。
(単位:億円)
設備投資(3期累計) | ||
---|---|---|
注力事業 | 87 | |
環境投資 | 24 | |
IT投資 | 10 | |
維持更新ほか | 89 | |
合計 | 210 | |
M&A投資 | 100 | |
原価償却費 | 178 |
(単位:億円)
研究開発費(3期累計) | ||
---|---|---|
FA・ロボット | 8 | |
半導体製造関連 | 13 | |
遺伝子抽出・解析 | 5 | |
機能素材 | 20 | |
その他 | 14 | |
合計 | 60 |
(6) 財務・資本政策
- ① 株主還元の方針
- 当社は、株主の皆様に対する配当を企業の重要課題の一つであるとの認識に立ち、継続的・安定的な利益還元を基本としており、「Accelerate’27」期間においては、株主資本配当率(DOE)4%を目標値として設定いたしました。
また、株主還元の充実及び資本効率の向上を図るため、「Accelerate’27」の3年間で200億円の自己株式の取得を併せて実施してまいります。 - ② 政策保有株式の縮減方針
- 政策保有株式につきましては、売却を段階的に進め、「Accelerate’27」の最終年度である2027年度末までに連結純資産比20%未満まで縮減する方針です。
- ③ キャッシュ・アロケーション
-
「Accelerate’27」では、資金の源泉(キャッシュイン)として、3年間で生み出す営業キャッシュフローと非営業資産である政策保有株式の売却収入を見込んでいます。
これらのキャッシュインに対するアロケーションは、投資の基本方針に則った成長のための設備投資・M&Aや、資本政策に則った配当と自己株式の取得に充ててまいります。

(注意) 当ページに記載されている業績等の内容は、資料作成時点における事業環境等を前提とした当社グループの予測に基づくものであり、記載された将来の業績数値や施策の実現の確約、保証をするものではございません。