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2015年5月28日

コンクリート片剥落(はくらく)防止の工期短縮とコスト削減を実現!
「KK クラックリペア シート工法・専用キット」を開発・販売

 

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田晴哉)繊維事業部は、コンクリート構造物の劣化対策であるコンクリート片剥落(はくらく)防止工事の工期を大幅に短縮でき、コスト削減にも効果がある新しい工法「KK クラックリペア シート工法」を開発し、その工法に必要な専用キットを本年6月より販売開始します。この工法は、すでに阪神高速道路株式会社の橋梁の維持工事での採用が決まっており、今後は工法のさらなる普及に努めてまいります。なお、この工法は、6月3日から開催される展示会「EE東北’15」(注1)のクラボウブースでもご紹介いたします。

 

1.開発の背景

国内では、高度成長期以降に建設された高架橋やトンネルなどのインフラが老朽化し、コンクリートの劣化によるコンクリート片剥落(はくらく)事故が増えており、橋梁やトンネルなどでのコンクリート片の剥落(はくらく)を防止するために劣化個所の補修工事が日々行われています。この補修工事が行われる箇所は、歩行者が多い場所や自動車、鉄道などの公共交通機関に関係する場所が多いため、通行量が少なくなる夜間などの限られた時間内で施工を完了させる必要があります。また、それらを補修するための熟練作業者の確保も難しく、人手不足による工事の進捗への影響も大きな課題となっているため、工期の短縮と作業効率の向上につながるコンクリート片剥落(はくらく)防止工法へのニーズが高まってきています。そのような中、今回開発した「KK クラックリペア シート工法」は、コンクリート構造物の劣化個所の補修工事期間の短縮に貢献できるとともに、工事にかかるコスト削減にもつながります。

 

2.商品の概要

従来の一般的な工法では、前工程にてコンクリートとの密着性を高めるプライマー、補修箇所の平滑性を増すパテ処理を行った上で、接着剤を使用して劣化箇所を補修する繊維シートをコンクリート表面に接着していましたが、「KK クラックリペア シート工法」では、この3種類の機能を兼ね備えた接着剤を新たに開発したことで、前工程の施工日数を短縮することができます。また、後工程では繊維シートの接着後に紫外線による劣化を防ぐため従来は2種類の仕上げ塗料を塗布していましたが、本工法では専用に開発した1種類の仕上げ塗料で済ますことが可能となります。この結果、従来5段階あった工程を2段階の工程で施工できるようになりました。さらに、その際に使用する補強ネットを従来のガラスクロスなどから不織布を複合した2軸ネット「KK クラックリペア シート」に変更したことにより柔軟性が高められ、コンクリート構造物の出(で)隅(すみ)や入(いり)隅(すみ)部分などの凹凸箇所にも密着させやすくなり、施工性が高まります。

 

3.商品の特長

(1)施工日数の短縮

「KK クラックリペア シート工法」専用に独自開発した接着剤と紫外線による劣化を防ぐ専用の仕上げ塗料を使用することで、従来5日間必要だった施工日数を2日間に短縮できます。

(2)コスト削減

工事規模の大きさにもよりますが、工程の削減により人件費や足場、交通規制などの費用が約3割から5割削減可能となります。

(3)十分な剥落(はくらく)防止性能

コンクリート片の剥落(はくらく)防止に対する要求性能は、高速道路会社や鉄道会社ごとに決められております。この工法は、阪神高速道路株式会社や首都高速道路株式会社が定めているコンクリート保護工事の基準(注2)に適合しています。また、国土交通省の新技術登録システム(NETIS)にも登録申請中です。

(4)柔軟な補修シートによる良好な施工性

「KK クラックリペア シート」は、クラボウの独自技術で生産する高強度ポリエチレン製の2軸ネット「クレネット」とポリエステル不織布の複合ネットで、材料としての柔軟性に優れ、出(で)隅(すみ)や入(いり)隅(すみ)などの凹凸箇所での施工性にも優れています。

 

4.販売開始時期・販売目標

(1)販売開始:平成27年6月(受注生産)

(2)販売目標:平成30年度2万m2(剥落(はくらく)防止工事の施工面積)

 

5.お問い合わせ先

クラボウ 繊維事業部 http://www.kurabo.co.jp/cotton

営業部門 繊維素材部 繊維資材課 担当:高島 

〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2-4-31

TEL:06-6266-5335 FAX:06-6266-5614

 

以 上

 

(注1)展示会「EE東北’15」

 開 催 日:平成27年6月3日(水)・4日(木)

 会  場:夢メッセみやぎ(みやぎ産業交流センター)

      (住所)仙台市宮城野区港3丁目1-7

 小間番号:C-76

 

(注2)コンクリート保護工事の基準

 ■阪神高速道路株式会社の基準

  阪神高速道路株式会社 道路構造物の補修要領 

  第2部コンクリート構造物 第2編コンクリート構造物表面保護要領(平成19年1月) 

  表面保護工の品質基準「中防食 C種」

 ■首都高速道路株式会社の基準

  首都高速道路株式会社 橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編

  平成18年8月版 剥落防止工の評価基準 A種及びB種