ニュース

製品・技術
2015年8月28日

バイオミメティックマテリアル「エアーフレイク」が「日本繊維機械学会賞技術賞」を受賞

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田晴哉)繊維事業部は、新たな三次元構造体であるバイオミメティックマテリアル「エアーフレイク」を独自に開発し、その工業生産化の技術を確立したことが評価され「平成27年度一般財団法人日本繊維機械学会賞技術賞」 (注1)を受賞しました。

 

1.受賞内容

受賞名:「生体を模倣した中わた素材の開発」

受賞理由:①羽毛の構造を分析し、その特殊な形状を再現する新たな三次元構造体を独自

               に創出したことと、その製造装置を独自開発し工業生産化の技術を確立した。

             ②独自の三次元構造体のため、従来の羽毛やポリエステル中わたなどのように

                製品に充填した際の中わたの偏りや生地の隙間から飛び出す中わたが少ないため、

                これまで側生地として使えなかったニット素材などの活用や新たな用途展開の可能性が

                広げられる。

             ③羽毛ではできない様々な機能の付与や製品洗いや製品染めなども可能となり製品自体の

                付加価値が高められる。

 

2.受賞商品

「エアーフレイク」は、羽毛の王様と言われる北極圏に生息する鴨の胸毛(アイダーダウン)(注2)の特性や形状を分析し、その特殊な形状を繊維で再現したバイオミメティックマテリアル(生体模倣材料)(注3)として開発された全く新しい繊維資材です。アイダーダウンは、小さな柔らかい核心から放射状に伸びているとても細かい羽枝からなり、それぞれの羽枝が相互に絡みあって、ふわふわした弾力のある毛球を形成しています。この形状を再現するため、独自の製造装置を開発し、羽毛の形状に近い三次元構造体の工業生産が可能となり特許出願(注4)しました。さらに、ダウンボールのような単一の構造体を連なった形状にすることで、課題であった繊維が絡まりあって固まりになる現象を克服し、従来のポリエステルわたや粒わたには真似のできない洗濯後のふくらみ感を保持することができます。

さらに、「エアーフレイク」は、洗濯が可能なこと、側生地からの吹き出しが少ないことなどにより、羽毛では難しかった製品洗いや製品染めなどが可能となり、商品自体の付加価値を高めることができます。また、軽量でふくらみがある特性を生かし、様々な形状の各種フィルターや保温・断熱材など産業資材分野への用途開発を行ってまいります。

 

3.お問い合わせ先

クラボウ 繊維事業部 http://www.kurabo.co.jp/cotton

ライフスタイル部 リビング製品課 担当:佐藤

〒541-8581 大阪市中央区久太郎町2-4-31 

TEL:06-6266-5361 FAX:06-6266-5541

以 上

(注1)一般社団法人日本繊維機械学会および技術賞について

繊維ならびに繊維機械に関する学術の進歩発展を図り、かつこれに関する工業の発展に資することを目的とし、繊維産業に携わる方々の団体として、昭和23年(1948年)に創立されました。それ以来、テキスタイルの製造、糸づくり、織物、編物、不織布、染色仕上、縫製からあらゆる産業資材、またナノファイバー、e-テキスタイルからデザイン、ファッションとそれに関連する機器・装置など様々な分野において、産学官協働を基本方針として活動を展開している学会です。

日本繊維機械学会賞「技術賞」は、同学会内で発表された繊維ならびに繊維機械に関する研究または技術開発のなかで,創意があり技術的に高い価値を有するものに対して贈られる賞です。

 

(注2)アイダーダウンとは

アイダーダウンは、グリーンランドなどに生息するアイダーダック(本毛綿鴨:ほんけわたがも)の羽毛です。この「アイダーダウン」は“羽毛の王様”とも呼ばれ、世界で羽毛の最高級品と言われています。

 

(注3)バイオミメティックマテリアルとは

生物の生態機能や構造を解明し模倣再現した素材

 

(注4)特許出願

(1)特許第5197096号:「詰め綿、その製造方法及びこれを用いた製品」

(2)特許第5726629号:「詰め物用交絡糸」

(3)特開2012-67429号:「詰め物体」